製品の生産方法では、個別受注生産、繰返受注生産、見込生産、セル生産、ライン生産、このほかにさまざまなレイアウト方式が登場します。それぞれの長所短所、目的を理解していないと、最適な生産設計を検討することができません。
生産のタイミングと品種・生産量での分類
生産の形態は、生産するタイミングによって受注生産と見込生産とに分けられます。受注生産は顧客からの受注があってはじめて生産を開始し、見込生産は必要と見込んだ分をあらかじめ生産します。
受注生産 | 多品種少量生産 … 個別・繰り返し受注生産
受注生産の中でも、受注ごとに仕様が変わるものが個別受注生産です。多品種少量生産では、たくさんの種類を少しずつ、注文のたびに繰り返して生産します。どちらの場合も注文を受けてから生産を開始するため、基本的に在庫は持ちません。
この個別受注生産・繰り返し受注生産で大事なことは、ちょうどよい量の注文をとることです。生産能力をオーバーしてもダメだし、暇すぎるのもダメです。
また、都度の注文に応えるためには、生産統制を徹底して納期を守ることが大切です。
中品種中量生産 … ロット生産
ロット生産は中くらいの数の品種を中くらいの量、生産するときに採用されることが多い方法です(中品種でなくても採用されることはあります)。ロット生産では、ある程度の量をひとまとめにし、これを1ロットとして生産していきます。
ロットを切り替えることを段取りといいますが、この段取りに手間取ると、生産に関係のないムダな待ちや仕掛品が発生することになります。ロット生産では、外段取り化するなど、段取り時間の短縮が求められます。
また、ロットサイズが大きすぎて在庫が増加したり、小さすぎて段取り回数が多くなったりしないように、ロットサイズの適正化を図ることも大切です。
見込生産 | 少品種多量生産 … 連続生産
少品種多量の見込み生産には、連続生産が適しています。需要の変動には、あらかじめ作って持っておく在庫で対処します。このとき、作りすぎて大量に売れ残る、足りなくて欠品する、ということがないようにします。
そのためには、「何をどれだけどうやっていつまでに生産する」、という生産計画を精度高く作ることが大切です。
生産ラインが効率的に製品を生み出すには、淀みなく連続して稼働する必要があります。在庫や仕掛品を圧縮することで、余計な管理、スペースや廃棄のムダなどを減らし、稼働率を向上します。
生産形態に適した工場レイアウト
次に、品種と生産量、生産方法によって、それぞれに最適なレイアウトを考えていきます。
固定式レイアウト
個別受注生産の中でも、船など大型の製品で採用されるレイアウトです。製品自体は移動せず、周りを人員や機械が移動することで作業が進められます。
機能別(工程別)レイアウト | ジョブショップ型
類似の機能を持つ機械をひとまとめにして設置するレイアウトで、工程別レイアウト、ジョブショップ型ともいいます。経路によって工程の違う製品を生産できるので、多品種少量生産に向いています。
生産の変動があっても経路を変えればいいため対応しやすく、ひとつの機能に習熟しやすい反面、経路が複雑になると管理に手間がかかったり、仕掛品が滞留して生産が長期化する可能性もあります。
グループ別レイアウト(セル生産方式)
グループテクノロジーにより、多品種でも、より製品別レイアウトに近い効率を目指します。機能別レイアウトが類似の機械をひとまとめにする一方、グループ別レイアウト、またはセル生産方式では類似の製品別にグループを作って生産します。機能別レイアウトと違い工程間の移動や作業者の切り替えが少ないので、仕掛品を削減できます。
いろいろな機能を操るスキルを身につけられ、作業する人の士気・意欲が高まりやすいというメリットがあります。需要の変動にも柔軟に対応できるようになりますが、多能工の育成は時間も要し簡単ではありません。
製品別レイアウト(ライン生産方式) | フローショップ型
少品種多量生産で連続生産するのに向いたレイアウトです。専用ラインなので効率は良い反面、品種の変更や故障があるとライン全体が止まってしまうデメリットがあります。単能工でよいので育成には時間がかかりませんが、同じ仕事ばかりでやる気を失ったり、臨機応変な対応力に欠ける面もあります。
ライン生産方式、いわゆる流れ作業では、ラインバランシングにより稼働率を上げ、仕掛品を減らしてスムーズに製品が流れるように工夫します。ラインバランシングについては、以下のタイム管理の記事も参考にしてください。
生産方法やレイアウトの分類にはさまざまなものがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。多品種だから○○生産、というように暗記するのではなく、製品や市場の特徴を捉えて生産設計を考えていきます。
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